TOP > メディア > オフショア開発の歴史や市場規模、2023年の最新動向まで徹底解説

オフショア開発の歴史や市場規模、2023年の最新動向まで徹底解説

労働人口の著しい現象が続く日本では、様々な業界で人材不足が問題となっています。

世界中でグローバルな活動が中心となっている今、IT業界で注目されているのがオフショア開発です。

そこで今回は、

  • オフショア開発の歴史や市場規模
  • オフショア開発における委託先の現状と最新動向

などについて詳しく解説していきます。

IT業務のリソース不足に悩む企業は、この記事を読んでぜひ参考にしてください。

オフショア開発の歴史

オフショア開発の歴史は、1960~70年代に欧米諸国が安価な人件費を求め、開発途上国でIT業務を行うようになったことが始まりだと言われています。

代表的な例では、米GE社が1990年代以降、インドなどでデータ入力やプログラミング、アプリケーション開発などのIT関連業務を委託し、コスト削減を実現しています。

日本では1980年代からオフショア開発が始まり、隣国という立地と安価な人件費という条件が重なり、中国でシステム開発などのIT業務を行うようになりました。

もともと製造業では、安価な人件費を求めて中国に生産拠点が移されており、IT業界がこうした流れを汲んで、中国へ開発業務を委託することは、自然な成り行きだったのです。

しかしながら、オフショア開発の中心が中国市場一辺倒であったのは2010年ごろまでであり、徐々にインドやベトナム、フィリピンといったアジア諸国へシフトされてきています。

この理由は、中国が世界第2位の経済大国となったことです。

急激な経済成長を遂げた中国では、かつてのように安価な人件費で人材を確保することは難しくなり、自国のITリソース需要の高まりもあって、他国に優秀なエンジニアを提供する環境下ではなくなったのです。

そこで新たなオフショア開発国として注目されているのが、インドやベトナム、フィリピンといったアジア諸国になります。

2020年以降、ベトナムやフィリピンといったアジア諸国へのオフショア開発は本格化しており、中国よりも上位を占めています。

オフショア開発国ランキング(2022年)

1位ベトナム(48%)
2位フィリピン(19%)
3位インド(12%)
4位中国(7%)
5位バングラデシュ(5%)
オフショア開発白書(2022年版)より

日本で人気となっているオフショア開発国は、ベトナム・フィリピン・インドの3か国で全体の8割を占めていることからも、その注目度はかなり高いと言えるでしょう。

オフショア開発の市場規模

実はオフショア開発の市場規模は、日本だけでなく世界各国で増加しています。

特に2017年ごろからオフショア開発を利用する企業が増え続けており、その市場規模は年々増加傾向となっているのです。

オフショア開発の市場規模がこれほどまでに拡大しているのは、従来の人件費削減という面よりも、ITリソースの確保が主な目的になっているからです。

グローバル化が進んでいたコロナ前では、オフショア開発を積極的に利用していたのは、ベンチャー企業やスタートアップ企業でした。

しかしながらコロナ禍に突入し、世界情勢や生活スタイルが激変します。

世の中のIT化は加速し、ベンチャー企業だけでなく中小企業といった、今までオフショア開発を利用してこなかった企業がIT市場をチャンスと捉えるようになったのです。

もちろん従来のような製品開発からのオフショア開発利用もありますが、中小企業では新規のプロジェクト開発は国内で行い、既存のシステムにおける運用や保守をオフショア開発で委託する、このような使い方が増えてきています。

具体的な数値で市場規模を見てみましょう。

日本国内におけるIT人材の不足は、2018年に経済産業省より発表されている「DXレポート」によっても明らかにされています。

従来は、インターネットなどのネットワークを使い、買い物をしたりソフトウェアをダウンロードしたりする「IT」が主流でしたが、今後は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に市場は置き換わっていくと言われています。

DXとは、ビッグデータとAI・IoTなどのデジタル技術を活用し、ヒトやモノ、サービスなどの新しいビジネスモデルの創出を指し、具体的にはタクシーの配車サービスやスマート家電、テレワークなどが身近なDX例です。

DXレポートによると、2017年にITとDXの比率が9:1であった市場は、2025年には6:4にまでDX市場が拡大し、それに伴い、2015年に約17万人のIT人材不足は、2025年には約43万人にまで拡大、深刻なIT人材不足に陥るとされています。

もちろんこうした流れは世界全体を見ても同様で、世界全体で見たオフショア開発の市場規模は2000年に456億ドル、2018年には865億ドルに拡大しており、今後もこうした市場拡大傾向は続くことが確実視されています。

日本はIT人材の育成をに真剣に取り組むだけでなく、オフショア開発をただのコスト削減だけでなく、優秀な人材の確保として取り入れていくことが求められているのです。

オフショア開発における委託先の現状と最新動向

オフショア開発国は、ここ数年で大きく変化しています。

フィリピン・ベトナム・インドの3か国が日本企業のオフショア開発国として人気が高いものの、バングラデシュやカンボジア、ミャンマーといった国々もオフショア開発国として注目されてきています。

ここからは、オフショア開発国として人気がある、各国の現状や動向について詳しく見ていきます。

フィリピンの現状・動向

フィリピンはベトナムに次いで、オフショア開発国として日本企業から人気のある国です。

その一番の理由は“高い英語力”です。

フィリピンは大小7,000以上の島々から成り立っている国家で、それぞれの島で使われてきた言葉が異なります。

そのため国を統治するにあたり公用語を英語としたため、国民のほとんどが英語を話すことができるのです。

日常会話だけでなく、学校の授業においても英語が使われており、高い英語力を持ったITエンジニアが多く、オフショア開発で問題となるコミュニケーションリスクを大幅に減らせる魅力があります。

親日国家として日本との国交が安定していることや、フィリピンと日本の時差が1時間であるということも、オフショア開発先として人気がある理由です。

人件費に関しては、一番人気のベトナムと同様、ITエンジニアひとり当たり20~30万円/月くらいで、日本人のITエンジニアに委託するよりも、かなりコスト面で優れていると言えるでしょう。

現在はまだフィリピンと日本でのオフショア開発の実績が少ないですが、今後は増えていくと予想しています。

ベトナムの現状・動向

ベトナムは東南アジア諸国の中でも、特にオフショア開発国として人気が高い国です。

その人気の高さは、オフショア開発国全体の占める割合が、約半数という点からもわかることでしょう。

なぜここまでベトナムがオフショア開発国として人気が高いのか、その理由は国を挙げてIT人材の育成に取り組んでいるといった背景があるからです。

ベトナムではITを国家の成長戦略の柱に位置付けており、STEM教育(Science・Technology・Engineering・Mathematics)の4分野をはじめとするIT人材の教育に力を入れています。

大学や専門学校でITの専門教育を受けた卒業生の数は、年間57,000人ほどと言われていて、これから先も同等のIT人材が毎年市場に供給されていくとみられています。

またベトナムは勤勉な国民性に加え、「高い給与を得たい人はITエンジニアを目指す」傾向があり、ベトナム人口の優秀な層がITエンジニアを目指して努力しているのです。

高い技術力を持った高給のITエンジニアですが、日本のIT人材の給与水準と比べれば、2分の1ほどのコストで済むという点も魅力です。

今後しばらくはベトナムの人気は続くとみられています。

インドの現状・動向

インドはIT技術に関して世界トップレベルだと言われていて、高い英語力を持ったIT人材が多いことでも知られています。

これはインドという国が欧米諸国のオフショア開発国として、長い間実績を積み上げてきたという歴史があるからです。

インドはオフショア開発としては先進国であり、非常に優れたエンジニアが多いといった魅力があり、単なるシステム開発だけでなく、より高度な技術を要する先端技術や、大規模なITリソースを必要とするプロジェクトなどで選ばれることが多い国です。

高い技術力と実績があることから、オフショア開発国のなかでは人件費が高めになっています。

そうした背景から、インドをコストカット目的でオフショア開発国の選択肢に入れる日本企業は少ないのが現状です。

ただしインドの人口は増加を続けており、高度な技術を持ったITエンジニアの数は今後も増えていくことでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)市場へ切り替わっていくなかで、高い技術力を目的としてインドを選択することは、大きなメリットになると考えられています。

中国の現状・動向

世界で最も長い歴史と実績を持つオフショア開発国と言えば、中国です。

日本の隣国ということもあり、日本企業と長い付き合いをしてきた経験があります。

現在、中国は世界第2位の経済大国です。

急激な経済成長を遂げる中で、技術革新の実績も積み上げてきました。

そのため、中国のITエンジニアにかかる人件費は年々上がっており、日本人エンジニアを雇用する場合とあまり変わらなくなってきています。

インドと同様、コストカット目的でのオフショア開発は難しいでしょう。

ただし「日本語が使えるエンジニア」「高い技術力を持ったエンジニア」「大規模なリソースが必要なプロジェクト」といった場合には、オフショア開発国として中国を選択肢に入れるメリットがあります。

バングラデシュの現状・動向

オフショア開発国としてはまだ実績が浅いバングラデシュですが、国がITを成長産業として位置付けていることから、IT人材は今後さらなる発展を遂げることが期待されています。

現状は、ベトナムやフィリピンと比較して技術力が高くありませんが、人件費をかなり安く抑えられるといった特徴があります。

英語が話せるエンジニアが多いということもあり、アメリカの企業とオフショア開発契約をしているパターンが多く、今後は技術革新にも期待ができるという位置づけです。

ミャンマーの現状・動向

親日であり、協調性のある国民性であることから、日本企業とチームを組んで作業を進めやすいオフショア開発国です。

現状としてはITの技術力はまだまだですが、勤勉なエンジニアも多く、今後はレベルが上がっていくと予想されています。

しかしながら国内の政治が不安定であり、オフショア開発国としてリスクをはらんでいるということは覚えておく必要があります。

オフショア開発はMabuhayTechにお任せ下さい

オフショア開発は、かつて人件費など開発コストの削減が最大の目的で行われてきました。

しかしながらITからDXへと移りゆくなかで、オフショア開発は技術力の高いITリソースの確保に変わりつつあります。

オフショア開発の市場規模は、日本だけでなく世界中で増加傾向にあり、ソフトウェアやシステム開発におけるIT業務はオフショア開発なしでは成り立たなくなっているのです。

中国やインドといったオフショア開発先進国だけでなく、後に続くベトナムやフィリピン、さらにはバングラディシュやミャンマーなど、後進国も増えてきました。

MabuhayTechはフィリピンを拠点とし、日本企業に向けてオフショア開発サービスを提供する会社です。

フィリピンのITエンジニアは英語力があり、コミュニケーションがとりやすいというメリットがあります。

MabuhayTechでは、フィリピンの優れたITエンジニアを介し、ビジネスの規模にかかわらず、高品質のソフトウェア開発を低価格にて提供しています。

また請負型のソフトウェア開発だけでなく、ラボ型開発も手掛けており、中長期的に優れたIT人材をチームの専属スタッフとして提供することも可能です。

オフショア開発を検討している企業様は、一度ぜひMabuhayTechにご相談ください。

目標達成に必要なスキルとサポート体制を探り、高品質な開発業務を行えるよう全力でサポートしていきます。

関連記事

    IT・通信・情報業界の現状やDX事例を詳しく紹介"/

    IT・通信・情報業界の現状やDX事例を詳しく紹介

    各業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が問われていますが、DX化を最も加速させているのがIT・通信・情報業界だと言えるでしょう。 IT・通信・情報業界に所属する企業はデジタルネイティブ企業といわれ、デジタル技術やデータ活用

    広告・メディア業界DXとは?できることやDX事例を徹底解説"/

    広告・メディア業界DXとは?できることやDX事例を徹底解説

    デジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルを創出したり、生活の質を高めたりするDXの動きが活発です。 私たちが毎日のように目にする広告やメディアにも、DXの波は訪れています。 今回の記事では、広告・メディア業界のDXについて、「広告・メディ

    AIを広告に活用する効果とは?メリットや活用事例をご紹介"/

    AIを広告に活用する効果とは?メリットや活用事例をご紹介

    紙媒体や地上波テレビ広告の市場規模は鈍化しており、代わりにインターネット広告が急成長を遂げています。 2019年にインターネット広告費が初めて地上波テレビ広告費を超えて以降、その差は広がる一方で、今後もインターネット広告の重要性は高まってい

    小売業界DXとは?DXによってもたらされる変化や事例を徹底解説"/

    小売業界DXとは?DXによってもたらされる変化や事例を徹底解説

    近年、消費者の購買プロセスに大きな変化が訪れています。 ECサイトの普及や無人レジの導入など、小売業界で推進されているデジタル化の波はいまだとどまる所を知りません。 今回の記事では、小売業界が進めるべきDXについて、「小売業界DXとは?」「

CONTACT

お問い合わせ

お仕事のご相談はこちらから。お気軽にお問い合わせください!

受付時間 9:00〜17:00(土日、年末年始を除く)

WEBでお問い合わせ WEBでお問い合わせ